Taba River 2017 Part 3
【夏岩魚】
7月下旬に35度以上の猛暑日が、一日あったのみで
連日、梅雨時期のような、鉛色の空と、冷やりとする風。
僕の好きな夏は、何処へ行ったのか?
蝉の鳴き声もどことなく寂しげで
憂鬱な、毎日を過ごしている。
このまま、秋がやってくるのだろうか?
湾マグにフラれっぱなしの僕は、癒しを求めて渓へ向かう。
前日に冠水する所があるほど、たっぷりと降り注いだ雨。
急な増水で、釣りになるのか、不安だったが、
せっかく何も予定がない休日。
山の香り、渓の香りを体で感じに、ジムニーを走らせた。
前回、フィールドに足を運んだのは、梅雨前だっただろうか、
自分の不注意で、滑落をして必死で崖を登り、
危なく崖からの転落を回避し、命を救われた。
何度も何度も、危険に直面してきたが、
この釣りを止めると言う選択肢は、僕には無く
渓魚に逢いに行きたい気持ちの方が強い。
今年は、春蝉鳴く季節も、深い新緑の季節も、歩く事が出来なかった。
季節は、夏を迎えて、終盤の渓をゆっくりと歩く事にした。
林道を走り支流に入る。
雨は止むことなく、霧のような雨。
雨水をたっぷり含んだ、急斜面を慎重に一歩一歩降りれば、
木々に覆われた深い谷に、美しい渓が現れる。
水量は多いが、釣りが出来ない程ではない。
濁りも笹濁りで、逆に釣りには好条件だ。
深呼吸をして釣りを開始する。
案の定、下手クソになったキャスト。
それを修正しながら、夏の魚の付き場を打って行くが、
なかなか黒い影が追ってこない。
夏らしくない渓。
増水の影響もあるかもしれない。
少しポイントを修正しながら打って行くと
黒い影が、アグレッシブにルアーに追ってくる姿が見える。
「いたいた」
これだけちょっとニヤニヤする僕が居る。
次のキャストで同じラインを通すと。
久しぶりに逢えた美しい岩魚。
この一匹で十分満足な気持ちにさせてくれたが、
時間はまだまだ一杯ある。
渓に戻って行く岩魚を眺めて更に登って行く。
登れば登るほどに飽きない程に
活発な岩魚達が遊んでくれる。
ルアーを追いかけて水面まで出てくる魚体。
何度も何度もアタックしてくる姿。
ハードシェルを一枚羽織らないと寒く
夏を感じない一日だが、
元気いっぱいの、夏の岩魚釣りはやっぱり楽しい。
いつも涼む滝を高巻きして更に登る。
瀬の中では、可愛い可愛い小さなアマゴ。
何時もなら、そろそろ退渓する所だったが、
この日は、もう少し頑張って歩いてみる。
「夏岩魚」なんて言葉は無いけれど
「夏ヤマメ」に負けない楽しさがある。
そんな事を考えて、釣り歩くと雨も止んでいた。
入渓して8時間。
僕の体力は限界を迎え、足の疲れはピーク。
バランス感覚も悪くなった。
何よりもシューズのソールに違和感が。
「そろそろだね」
沢山の岩魚と美しいアマゴと遊んでもらい
退渓すると、怪我無く、無事に戻れた
安堵と充実感で一杯になる。
林道に戻ると、鉛色の雲の隙間から
久しぶりの夏の青空が顔を出す。
後、何回来れるのだろうか?
少ないシーズンを惜しみながら僕は渓を後にした。
-TACKLE DATA -
Rod: SOULS / TROUT FINALIST EXPLORER 50LS Ver2
Reel: SHIMANO / TWINPOWER 2000HGS×わたらせ樹脂工房 楓瘤
Line: APPLAUD / GT-R Trout Edition 4LB
Lure: Buddy 50s.Rough Stream Minnow50.Matt Homura50s.Spino Minnow fat50s.slim50s.・・etc
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